2021年7月5日 11:10発表
火山の状況に関する解説情報 第055号
福岡管区気象台/福岡管区気象台 鹿児島地方気象台
口永良部島では、2021年2月下旬から新岳火口付近の浅い場所を震源とする火山性地震が多い状態で経過していましたが、5月以降、減少傾向がみられ、規模の大きな火山性地震も観測されていません。また、新たなマグマの上昇を示すと考えられる、新岳西側山麓付近の火山性地震は、2020年6月以降観測されていません。 6月22日及び23日に実施した現地調査では、新岳火口西側割れ目付近の地熱域の状況には、特段の変化は認められていません。 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1月以降少ない状態で経過しています。 GNSS連続観測では、島内の基線でみられていた2019年10月頃からの島内の伸びは2021年2月頃から縮みに転じています。 以上のことから、口永良部島では新岳火口から西側で2kmを超え、その他の範囲では新岳火口から1km超えて影響を及ぼす噴火が発生する可能性は低くなったと判断し、本日(5日)11時00分に噴火警戒レベルを3(入山規制)から2(火口周辺規制)に引き下げました。 一方、新岳火口及び古岳付近での火山性地震は1日数回程度発生しており、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も1日あたり数十トンと少ないながら続いています。また、新岳火口西側割れ目付近では、地熱域が引き続き観測されています。 これらのことから、引き続き火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生するおそれがあります。
新岳火口から概ね1kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。 また、新岳火口から西側の概ね2kmの範囲では、火砕流に警戒してください。 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるため注意してください。 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。
次の火山の状況に関する解説情報は、5日(月)16時頃に発表の予定です。 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します
(C)日本気象協会