わたしたちの生活に欠かせない情報の一つである天気の疑問に2人の気象予報士が答えるコラム。(2008年4月終了)
2007年07月17日
Q
気象予報士についての質問なのですが、気象予報士は日本だけの資格ですか?
それとも海外にも似たような資格が存在するのでしょうか?
A
はい。国家資格として気象予報士制度があるのは、日本だけです。
米国には気象学会が承認する気象キャスター認定制度があり、これが日本の気象予報士に近いかもしれませんね。
ただ、日本の気象予報士制度は、本来、気象キャスターになるための資格ではなく、天気予報を自由に発表することが出来る資格なんです。
そういう意味では、欧米では可能な国が多いです。気象会社や個人が天気予報をすること自体は自由なんです。
「えっ、それで大丈夫なの?」って、思ってしまうかもしれませんが、自然淘汰されて、当たらない会社は存続できないからよいということなのでしょうね。
goo天気編集部:気象予報士でなくても気象キャスターはできるのでしょうが、天気についてある程度の知識は必要ですよね?
もちろん、天気予報を当てる知識は必要ですが、それに加えて、わかりやすく解説する能力や、視聴者に興味をもってもらうための話術も必要ですね。
私が知っているカナダのキャスターは、自分のことを「俳優」だと言っていました。
気象のことは勉強していましたが、専門的なことは気象研究者のアドバイスを受けていました。このキャスターは研究者の予報や解説を、自分なりにアレンジして演じていたのです。
天気の良い日は笑える天気予報で、悪天時はまじめな天気予報をしていました。
また、米国では研究者出身の気象キャスターが多くいます。
気象の専門家であることが前提で、さらに、話術を見につけた者だけが、気象キャスターになれるのです。
また、米国には気象キャスターを認証する資格制度が存在しています。
専門的な知識に加えて、解説する能力を兼ね備えた人を気象専門家の組織である気象学会が認証しているそうです。
(隣はチュニジアの気象キャスター)
goo天気編集部:写真は国際気象フェスティバル受賞時とのことですが、どういった国際大会だったのですか?
2002年に行われた授賞式のものです。
これは世界各国の天気予報番組を審査して、素晴らしい気象キャスターに対して与えられた賞です。
全世界から約120カ国の参加があり、私はこのとき「アジア賞」を受賞しました。
受賞されるということは、ステージでスピーチをしないといけないのですが、英語が苦手な上、急に決まるので、何のコメントも準備をしていなく、「ありがとうございます」くらいしか言えませんでした。
もっと英会話を勉強しておけばよかった・・・です。
goo天気編集部:岩谷さんは国際的気象予報士さんなのですね!勝手に鼻が高くなりました(笑)
Q
気象予報士さんが定期購読するような月刊誌はありますか?
A
私は、日本気象予報士会の会報「てんきすと」のほか、日本気象学会に所属している気象予報士は、「天気」という学会誌を定期購読しています。
「天気」は気象研究者の論文が掲載されたもので、完全に理解するのは難しいのですが、最新の研究成果を知ることができます。
また、「てんきすと」は、気象予報士を取得した人向けですので、学会誌よりは少しやさしい内容で、天気予報の基礎的な技術を勉強することができます。
気象予報士同士の勉強会や交流会などの案内もあります。
goo天気編集部:気象予報士をめざすなら「てんきすと」ですね!
読みやすいものとしては、「気象」(財団法人日本気象協会発行)や「気象新聞」(財団法人気象業務支援センター)がありましたが、残念ながら、いずれも廃刊になってしまいました。
その他、私は地球環境問題に関心があるので、環境情報誌「グローバルネット」(財団法人地球・人間フォーラム発行)や、環境ファッション・マガジン「ソトコト」(木楽舎)を読むことがあります。
「ソトコト」は書店で購入できるので、環境に関心がある方はぜひ読んでください。
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