わたしたちの生活に欠かせない情報の一つである天気の疑問に2人の気象予報士が答えるコラム。(2008年4月終了)
2007年06月06日
Q
地球温暖化の影響として顕著なものは何がありますか?
A
大きくわけて4つあります
写真:沈みかけた島(ツバル)(撮影 吉村友宏氏)
左:ヒマラヤ(東ネパール)のAX010氷河 (1978.5.30,名古屋大学環境学研究科・雪氷圏変動研究室)
右:後退中のヒマラヤ(東ネパール)のAX010氷河 (1998.10.27,名古屋大学環境学研究科・雪氷圏変動研究室)
goo天気編集部:こういった温暖化の影響に対して岩谷さんはどうお考えですか?
「地球温暖化は将来のこと、100年後のこと」と思っている方も多いと思いますが、 すでに温暖化の影響が出始めており、その被害も大きくなってきていると思います。
気温上昇や海面上昇も加速しており、今後、日本でも深刻な被害が出るのではないかと危惧しています。
Q
低気圧が急激に発達し、突風、竜巻が発生し各地で被害が出ておりますがそれも温暖化の影響なのでしょうか?
A
竜巻や突風は地球温暖化の有無に関係なく発生しますが、近年、その被害が大きくなっています。
2006年11月7日に北海道佐呂間町で発生した竜巻は、過去最大級となるF3(藤田スケール)で、9名の犠牲者を出しました。
南の暖気と北の寒気の温度差が大きいと、低気圧は急速に発達し(爆弾低気圧と呼ぶこともある)、激しい現象が起こりやすくなります。
断定は出来ませんが、温暖化する過程で、中緯度では南北の温度差が大きくなると思われます。
東京でも急速に発達した低気圧によって、2004年12月5日に40.2m/sの突風を観測し、観測史上2位の記録となっています。
goo天気編集部:では今後、突風、竜巻の発生は増えると考えていいのでしょうか?
非常に強い突風や、大きな被害をもたらす竜巻は増えると考えています。
Q
台風も同じように発達し被害が更に大きくなる気がするのですが、この傾向は年々規模が拡大するのでしょうか?
A
地球温暖化によって、空気だけでなく、海も暖まります。台風は約27度以上の海域で発生、発達しますから、海水温が高くなれば、台風の勢力は強まり、巨大化していきます。
日本近海でも台風は衰えることなく、接近・上陸することになるでしょう。
台風による最大瞬間風速の記録をみると、西表島で69.9m/s(2006年9月16日)、広島で60.2m/s8 2004年9月8日)、札幌で50.2m/s(2004年9月8日)など、近年になって、観測史上1位の記録を更新しているのが目立っています。
今後、台風による暴風はさらに強まり、大雨の被害も大きくなることが予想されます。
海面も上昇していることから、甚大な被害を及ぼす高潮の危険も高まってきています。
goo天気編集部:地球温暖化に対して私達ができる事や対策はなにがありますか?
日頃の生活スタイルを見直すと良いと思います。 昔のように我慢や不便な生活に戻りなさいと言いません。
無駄に使っているエネルギーを節約することはできると思います。
電気のつけっぱなし、コンセントのさしっぱなしをしていませんか? 水を出したまま歯磨きをすることも、エネルギーの無駄使いになるのです。
浄化やポンプでの送水に電気が使われているからです。
それから、買い物するときもレジ袋をもらわないようにする。 省エネの電気製品を購入したり、自然エネルギーを使うようにすることでも、二酸化炭素の排出を減らせます。
細かいことの積み重ねですが、世界のすべて人々が行うことによって、地球温暖化の影響を最小限に食い止められるのではないかと思います。
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